06年今治市関前岡村島&大下島でのゼミ夏合宿

今年でゼミとしては3回目、個人的には5回目の入島です。昨年は、地域の生活を維持するための各施設、淡水化プラントやゴミ焼却場などを見て回りましたが、今年は離島の人々の生活の実際を聞いてまわるということを中心に行いました。ちなみに離島にとって最重要なライフラインは、水道、電気、航路だそうです。

今治港からフェリーで約1時間(片道760円)。しまなみ海道をくぐりながら、島に向かっていきます。

もうすぐ入港です。岡村島は、広島県側にはスーパー農道を通じて、大崎下島とつながっていますが、愛媛県とは船でしかつながっていません。2年後には、岡村島は本州と陸続きになる予定です。

到着初日の午後は、地元の漁師の方のご協力の下、3隻の船に分乗して、大三島付近で釣りや素潜りをしました。岡村の漁師は、かなり広い範囲の漁業権を持っていますが、生活はなかなか大変なようです。

30名が泊まった自炊・素泊まり施設(公設の農村交流センター)の目の前にある地元の海水浴場。意外と岡村島周辺には、整備された海水浴場がなく、日中は周辺の子ども達が泳ぎに来て賑やかです。

岡村島から小大下島経由で20分、フェリーに乗って大下島に上陸。大下島は、宗教的な意味合いなどで漁業は余り盛んではなく、主に農業(温州ミカンの栽培)で生計を立ててきました。が、ミカンの値段の大暴落で、現在は経済的には厳しい状況です。大下島では、まず地元のお寺(浄土真宗)の住職さんのお話を聞きました。このお寺は、江戸時代、今治のお寺から住職が来て建立したようです。岡村島は今治藩領、大下島は松山藩領だったことなどから、同じ旧・関前村とはいってもいろいろ異なっています。ちなみにこの島の住職さんは、29歳と非常に若いです。

住職さんのお話を聞いた後、学生を6つのグループに分け、各家庭にお邪魔して簡単な聞き取り調査を行いました。季節柄、テングサを洗って乾燥させている光景があちこちで見られました。現在、テングサだけでなく、イギス(海草の一種)やヒジキなどがなかなか良い値で取引されるそうです。

集落より小さい単位の「講」毎に神様がまつられています。神社の本殿の側に各「講」の小さな社があり、頻繁にお祭りが行われているようです。ただ、仏教の単位の「講」がなぜ神社の単位と重なっているのかは、今回はよくわかりませんでした。

宿泊所に戻り、その晩、各グループが聞き取り調査の結果を報告しました。学生にとっては、血縁関係になくても同じ名字だというだけで、擬似的な親戚関係を結ぶ制度に興味が引かれたようです。

昨年に続き、郷土料理教室もひらいてもらいました。今年は、イギス豆腐をメインにして、ところてん、そうめんウリのサラダ、タコぶつなどを一緒に作りました。特にイギス豆腐は、非常に珍しく、とても興味深い味でした。ただ、食べるのに気をとられ、イギス豆腐自体の写真を取り忘れてしまいました・・・

 

05年に関前村は今治市に吸収合併となり、そして岡村島は2年後に陸続きに、大下島にも橋の建設計画が出るなど、地域状況がちょうど大きな変化の時期に直面しているので、来年以降、より集落や家庭に密着した内容に重点を置いた調査を組み込んでいく予定です。