「フットパス」とは、本来、イングランドにおいて、レクリエーション等の目的から、土地の所有権とは無関係に人々が「歩く権利(Rights of Way)」を有する道を指す言葉でした。近年、日本では、歩く権利とは関係なく、イングランドのフットパスの一部の機能である「歩きながら地域の特徴や原風景を体感する」という道をフットパスと呼び、北海道などで盛んに市民を中心にして設置する動きが出てきています。その中で、2003年に設置された根室フットパスは、北海道を代表するフットパスの一つと言えるでしょう。根室フットパスは、酪農家集団AB-MOBITという5人からなる酪農家グループが、それぞれの所有する牧場の中に、歩く道を整備することで形成されました。AB-MOBITは、そもそも酪農の暮らしの魅力を都市の消費者と共有し、地域活性化に繋げることを目的として、2001年に結成され、酪農体験をはじめとした活動を進めていた。その一環としてフットパスが設置され、現時点で厚床パス、初田牛パス、別当賀パスの3ルートが、それぞれJRの駅を出発点に、5戸の牧場を繋ぐことを意識して成立しています。広大な「私有」の牧草地と原野を歩くコースは、合計42.5kmにも及び、景観・規模ともに発祥地イギリスのフットパスに近いでしょうか。この根室フットパスで、2010年より、ゼミの夏合宿(ワークショップ)を行い、特に別当賀パスの整備を行っています。詳細については、下記のリンクをご参照ください。 1.2010年のワークショップ 2.2011年のワークショップ 3.北海道新聞根室版の記事(2011年9月1日) 4.根室新聞の記事(2011年9月5日) 5.ニュース専修(学内誌)の記事(工事中)
2011年8月、ここ4年来、研究を続けてきた財産区の研究成果が、本(『コモンズと地方自治:財産区の過去・現在・未来』)となりました。その多くが入会(いりあい)である財産区は、日本を代表するコモンズと言えるでしょうが、その包括的な現状は必ずしもわかっていませんでした。特別地方公共団体でもあるので、総務省が把握していても良いのですが、総務省は簡単な調査をするだけで、それほど多くの情報は持っていません。そのため、チームを組んで悉皆調査を行い、98%の財産区の状況をまとめ、分析したものが今回、本になっています。調査の概要については、ここをご覧ください。また、本の目次などの詳細は、発行元の日本林業調査会のHPでご確認ください。
「支え合いの仕組みから考える持続可能なコミュニティ」 ながらくコミュニティの紐帯を新たに作り出すためにタイムバンク導入を推進されてきたヘロン久保田さんをお招きして、持続可能なコミュニティ構築のための仕組みについて考えていきたいと思います。 ■日 時 2010年6月12日(土)14:00~17:30(開場13:45) ■会 場 専修大学神田キャンパス・1号館4階 ゼミ44教室<変更しました> 千代田区神田神保町3-8 地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、 神保町駅出口A2より徒歩3分、 JR水道橋駅西口より徒歩7分 地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html 構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html ■講 演 ヘロン久保田雅子さん「お金で買えない貴重な時間:時代を変えるためのタイムバンク」(60分) 村山和彦さん「都市計画のツールとしての”ピーナッツ”」(40分) 森野 榮一さん「持続可能なコミュニティとは?」(40分) ■参加費 資料代として700円 ■主 催 ゲゼル研究会( http://www.grsj.org/ ) ■問合せ 泉留維まで メール rui.izumi at gmail.com (atを@に変更してメールをお送りください) ※どなたでもご参加いただけます。 小規模な部屋で開催を予定していますので、参加される方はメールでご一報いただけると助かります。なお、講演会終了後の懇親会に参加される方は、できるかぎり事前にメールでご連絡ください。 【講師プロフィール】 ヘロン久保田雅子 米国タイムバンク・エリア代表、フロリダ・インターナショナル・大学(FIU)講師。著書は、『この世の中に役に立たない人はいない』(創風社 2002)、『お金で買えない貴重な時間』(Time Banks USA 2010)など多数。1990年代初めより、コミュニティにおける新たな相互扶助構築のためにタイムバンク導入を推進している。 村山和彦 (株)みんなのまち代表取締役社長、都市計画・まちづくりコンサルタント。著書は、『地域通貨の可能性-「ピーナッツ実践報告」』(千葉まちづくりサポートセンター、2001)など多数。地域通貨ピーナッツの生みの親であり、コミュニティービジネスとしての地域通貨導入を推進している。 森野 榮一 経済評論家、ゲゼル研究会代表。WAT清算システム会員。著書、論文は『消費税完璧マニュアル』『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『なるほど地域通貨ナビ』(編著、北斗出版) など多数。1999年、NHK BS1特集「エンデの遺言」の番組制作に参加・監修。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及活動に努めている。
久しぶりにゲゼル研究会主催の研究会を開催します。昨年末のサブプライムローン問題の勃発以来、グローバルな金融資本主義は、激しく揺さぶられています。この1年間の世界経済の動向をおさらいし、行方を考えていくためにゲゼル研究会のメンバーに話題提供をしていただき、その後、皆さんと一緒に議論したいと思っています。 年末が迫る忙しい時期かと思いますが、お時間が許しましたら、是非、ご参加下さい。 ■日 時 12月6日(土)14:00~17:30(開場13:45) ■会 場 専修大学神田キャンパス・2号館1階 106教室 (会場が当初ものから変更になっています) 千代田区神田神保町3-8 地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、 神保町駅出口A2より徒歩3分、 JR水道橋駅西口より徒歩7分 地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html 構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html ■講 演 森野榮一さん「金融経済化と出口なき世界」 (60分) 青木秀和さん「『お金』崩壊に向かう世界経済」 (60分) ■参加費 資料代として500円 ■主 催 ゲゼル研究会( http://www.grsj.org/ ) ■問合せ 泉留維まで メール rui.izumi at gmail.com (at = @ に変換) ※どなたでもご参加いただけます。 小規模な部屋で開催を予定していますので、参加される方はメールでご一報いただけると助かります。 【略歴】 青木 秀和 財政アナリスト。大卒後3年間準大手ゼネコンに勤務。その後、公務労働者に 転じ、社会福祉・公共事業・環境保全部門を経験。現在、公立大学事務局勤務。財政窮迫の様相とその根源的原因をライフワークとして追究。今年『「お金」崩壊』(集英社新書)を出版。 森野 榮一 経済評論家、ゲゼル研究会代表。WAT清算システム会員。著書、論文は『消費税完璧マニュアル』『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『なるほど地域通貨ナビ』 (編著、北斗出版) など多数。1999年、NHK BS1特集「エンデの遺言」 の番組制作に参加・監修。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及活 動に努めている。
毎年、ゼミの合宿を行っている愛媛県今治市の離島・岡村島が、2008年11月に「離島」ではなくなってしまう(2008年のゼミ合宿の様子はここをクリック)。岡村島は、2005年に今治市と対等合併するまでは、関前村の中心となる島であった。旧関前村は、岡村、大下、小大下の三島からなり、1890年に岡村と大下村が合併してできた村である。江戸時代は、少し意外なことに、対岸の今治藩ではなく、松山藩の領地であった。ちなみに小大下島は、近世までは無人の島で、岡村と大下村の両村入会の地であった(江戸時代から入会紛争は多発していた模様、明治時代以降は石灰岩の採掘が盛んとなる)。 瀬戸内海の島の多くは明治期からミカン栽培が盛んになり、もれなく関前地域でも1900年前後から盛んになっている。一時期はミカン御殿が建つほどの所得があったが、1970年代に入るとミカンの価格が暴落し、その後、関前地域の人口も激減していく(下記写真参照、戦後は一貫して人口は減少していたが、ゆるやかであった)。2008年3月末現在(住民基本台帳人口)で、岡村が491人、大下が121人、小大下が43人となっており、戦後直後と比較して5分の1程度となっている。 このような岡村島は、1995年に岡村大橋と平羅橋、1998年には中の瀬戸大橋が完成して、広島県の大崎下島と陸続きになっている。これらの橋の事業は広島県の事業として行われ、広域農道と位置づけられている。大崎下島の住民が、自分のミカン畑(「大長みかん」というちょっとしたブランドみかんを産出)に船ではなく車で行くことができるようにするというのが建設目的である。表向きは、岡村島の利害と関係なく、広島側の島と陸続きになっている。 この架橋は、全体構想として「本州 - 下蒲刈島 - 上蒲刈島 - 豊島 - 大崎下島 - 平羅島 - 中ノ島 - 岡村島 - 大崎上島」と位置づけられているものの一部である(岡村島だけが愛媛県)。この全体構想の中で、岡村島と大崎上島の架橋建設は全く具体化しておらず、現在、「上蒲刈島 - 豊島」の架橋建設が進んでいて、その他の架橋はすべて終わっている。そして、この架橋が2008年11月に完成し、岡村島は本州と陸続きになり、離島ではなくなってしまうのである。 愛媛県が策定した離島振興法に基づく実施計画(平成15年度~平成24年度の10ケ年間計画)では、広島側と陸続きになることにより、観光客の呼び込みが容易になり、UJIターンのハードルも下がると位置づけている。しかし、一部の島民の話を聞いたに過ぎないが、現実には陸続きになることの不安(治安の悪化など)の方が大きくまさっており、また観光客を呼び込むためのハード(91年に作られ、ゼミ合宿で使用している公設の宿泊施設も整備が不十分)とソフト(島のどのような資源をアピールするのかという認識が共有されていない)は整っておらず、産業的にUJIターンも見込みがたっているとは思えない。岡村島の島民にとって陸続きになることは、今のところメリットがほとんどないと言っても良いだろう。 例えば、もし橋の下に水道管を敷設できれば、島にとっては大きなメリットとなる。現在、岡村島は海水淡水化プラント(1997年完成)があるため水不足の懸念は起きていないが、そのプラントも耐用年数が迫っており(財政的に新規更新は難しそう)、農業用水の確保も考えると、近々、新たな水源が必要となる。ただ、広島県の事業だったこともあり、そもそも橋の下に水道管を敷設することは想定されていなかったため、重量的に敷設が難しいのが現実のようで、島民は非常に残念がっている。 離島が「離島」でなくなることは、岡村島にとっては生活面でも観光面でも今のところメリットがあまり見いだせない。もう静かな「離島」を売りにすることもできない。厳しく書けば、行政に頼らず、島民自らが協調して、新しい行動を起こし、メリットを作り出すべきなのであろうが、良くも悪くも地域の凝集点であった役場が消え、若者がほとんどいない中(2005年の高齢化率は54.7%(国勢調査))で、多くの過疎高齢地域と同じく、地域機能の現状維持を図るのがせいぜいとなっている。 当たり前のように言われていることだが、地域機能が極端に減少する前に、地域住民が地域資源(注記参照)を見直して、外部の理屈から始まった架橋による本州との接続を受け身にならず、積極的にプラスに働かせることが、岡村島と周辺地域の持続可能性を決めて行くであろう。 注記:地域資源として、例えばハードとして周辺の島にはない人工海水浴場、公設の宿泊施設(30名規模)、立派な小中学校施設、安価に入居できる介護施設などがあり、島民のたすけあい活動やお祭りといった共同体機能も十分に残っている。隣接する島もやっているような地元のみかんや海産物を都市部に売り込んだりする資源利用以外にもっと着目すべき。