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- 執筆者: izumi
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昨年に引き続き、2017年12月時点での地域通貨の稼働状況について調査を行いました。地域通貨の稼働数調査の手法については、泉・中里(2017)を参照してください。なお、2017年12月の稼働数調査は、明治大学の中里裕美氏と泉が合同で行っています。
2017年12月現在での稼働しているものは186となっています。今回の調査で新たに見つかったり、中止が判明したりした地域通貨もあるため、昨年の調査と過去の数値が若干異なっていますが、2016年調査と比較して20以上も減少しています。2005年12月調査をピークにして稼働数は漸減しており、この流れが変わる様子はありません。2017年に立ち上げられた地域通貨は、確認したもので7あり、誤差の範囲だと思われますが、若干減少しています。「木の駅」として取り組まれる地域通貨はまだまだ数多くありますが、新しい傾向としては、ブロックチェーンの仕組み等を用いて、スマートフォンで電子地域通貨のやりとりをする仕組みが出てきていることでしょう。
地域通貨の電子化については、日本でも2000年代初めから、地域通貨の利便性を高めるためにその必要性は語られてきました。2002年の住民基本台帳ネットワーク用のICカードを用いたものが始まりであり、市民団体が主体となったものの初期の事例としては2004年に導入した千葉市の地域通貨ピーナッツをあげることができるでしょう。ただ、このときは、あまり電子地域通貨は普及しませんでした。
しかし、2009年にビットコインが登場したことで状況が変化しつつあります。投資対象として仮想通貨への関心が高まると共に、ブロックチェーンによる新たな貨幣発行の仕組みそのものへの関心も高まりました。その影響は地域通貨の世界にも及び、海外に目を向けると、イングランド北部にある小都市ハル(Kingston upon Hull)では、2014年からハルコイン(HullCoin)と呼ばれるブロックチェーンの仕組みを用いた地域仮想通貨が実験的に取り組まれているそうです。
日本では、2017年9月に実験が行われた「近鉄ハルカスコイン(発行主体:近鉄グループホールディングス)」や、2017年12月に導入された「さるぼぼコイン(発行主体:飛騨信用組合)」がブロックチェーンを用いた地域仮想通貨の例として挙げることができるでしょう。
一部詳細な結果については、『都市問題』2018年9月号(泉留維「自治体は地域通貨とどう向き合うのか」)に掲載しますので、そちらをご覧下さい。