フットパス

『フットパスによる未来づくり』刊行

 一昨年(2021年)から企画していたフットパスの本が、2023年9月22日に刊行されます。日本では、「フットパス」と名がつく活動は、2000年前後から始まり、今ではフットパスのコースの数は575本、総距離約3,519kmとなっています。各地の市民や自治体などが「フットパス」の設置を行ってきましたが、その実態や現場の想いなどを一冊にまとめたものとなっています。学術的な本ではないですが、読みやすいものとなっていますので、日本のフットパスを歩いてみたい方、フットパスを作ってみたい方、歩行者のためのまちづくりをしたい方など、いろんな方に手に取ってもらえれば幸いです。

『フットパスによる未来づくり』神谷由紀子・泉留維編、日本フットパス協会監修、2023年9月22日出版(水曜社)、2,970円(本体2,700円+税)

水曜社HP

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日本のフットパスの現況調査について(日本フットパス協会)

 2月8日に日本フットパス協会10周年大会が東京都町田市で開催されました。その大会にあわせて、日本フットパス協会が日本のフットパスの現況を調査することになり、協会から委託を受けて調査を実施しました。
 日本では2000年代初頭に各地で「フットパス」の設置が始まりました。多摩丘陵フットパスや根室フットパスなどが初期の代表的なフットパスです。その後、各地のフットパスの関係者のつながりを強め、フットパスの考え方や活動を広めるために日本フットパス協会が2009年に設立されました。この日本フットパス協会の設立を一つの契機にして、日本各地でフットパスの設置が一気に広がったとも言えるでしょう。ただ、実際にどの程度の広がりがあるのかは正確には把握されていません。協会設立10年という節目を受けて、各地の主要なフットパス団体の協力を仰ぎながら、現況の把握を行いました。
 10周年大会で配布された資料は、おいおい日本フットパス協会のHPかFacebookで公開されるかと思いますので、ここでは結果の概要のみ載せます。今回の現況調査は、オルレやトレイル等は含まれていません。それらを含めた調査は同じ時期に独自に行っていますので、近いうちに論文化して公開するつもりでいます。

<「日本のフットパスの現況調査」について>
日本フットパス協会
令和2年2月8日

○調査要領
①調査対象:令和元年12月時点で次の2条件を満たしているもの。(1) 原則として、名称に「フットパス」という文言が入っている。(2)日本フットパス協会が記している「フットパス」の説明「森林や田園地帯、古い街並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くこと【Foot】ができる小径(こみち)【Path】」に当てはまる。
②調査方法:日本フットパス協会が対象となる「フットパス」のリストを作成し、対象団体等に対してメールで調査票を送付・回収(インターネット調査)
③回収数:135件
④調査実施期間:令和元年9月18日~令和2年1月23日
⑤調査実施者:泉留維(専修大学経済学部教授)

○調査結果の概要
・団体数
フットパスを設置している団体数は「135」団体。同じ運営団体が複数のフットパスを設置しているケースもあり、純団体数は「123」である。

・コース数
一つのフットパスには、複数のコースが設定されることが多い。全国のコース総数は「580」本。

・距離(km)
フットパスのコースの多くは、3時間以内に歩ける10km未満/本である。全国の総距離は「4278.2」km。

団体数、コース数、距離のすべてにおいて一位が北海道、二位が熊本県である。

根室フットパスの明郷パスについて

2003年から設置が始まった根室フットパスは、根室市の酪農家集団AB-MOBITという5人からなるグループが、行政の手をほとんど借りず、地元産業界の支援を受けながら、主に自らの所有する牧場の中に歩く道を整備することで形成されていった。2019年現在、厚床パス、初田牛パス、別当賀パス、明郷パスの4コース(計46.8km)が整備されている。なお、私有地や道路ではない公有地等を通り抜けることが多いため、AB-MOBITのメンバーである明郷・伊藤牧場や道の駅スワン44ねむろ等で販売されているルートマップ(各コース1部200円)が通行証代わりとなっており、歩く際は必携となっている。
4つのコースの中で最も新しいのが2016年に開通した明郷パスである。明郷パスは、2015年からAB-MOBITと専修大学経済学部泉ゼミが合同で整備したもので、明郷・伊藤牧場から風蓮川鉄橋までの約4.3kmのコースとなる。

①スタート:明郷・伊藤牧場

JR花咲線・厚床駅から始まる厚床パスの中間地点が明郷・伊藤牧場である。厚床駅から厚床パスを歩けば90分ぐらい、根室交通の中標津線のバスに乗れば7分ほどで明郷バス停に到着する(バス停から徒歩5分ほど)。なお、根室駅と中標津空港を結ぶ空港バスでも行くことができる(伊藤牧場前下車)。牧場内には、直営のレストランATTOKOがあるので、そこで食事をしたり、お土産を買ったりするのも良い。明郷パスのルートマップをまだ持っていなかったら、必ずここで買うことになる。牧場から国道243号線に戻って北に向かって歩き、最初の分岐を左に行くと、「明郷農事会館」という古めかしい建物が見えてくる。

写真1:レストランATTOKO
別所の谷戸の風景

②明郷農事会館

旧和田村の村長宅を移築した建物である。農事会館から、道路向かいの小径に入る。国道から入ってきた場合は、農事会館が左手、小径は右手に見える。道なりに左に曲がるように150mほど歩いて行くと、旧標津線跡に合流する。

写真2:明郷農事会館
御尊櫃御成道に入る手前の道標

③旧標津線

標津線は、旧国鉄およびJR北海道が運営していた鉄道路線である。標茶町の標茶駅で釧網本線から分岐し標津町の根室標津駅に至る本線(59.4km)と、中標津町の中標津駅で本線から分岐し根室市の厚床駅で根室本線(花咲線)に接続する支線(47.5km)から成り立っていた。1931年(昭和6)から工事が着工し、1933年に厚床~西別(別海)間が開通、1937年には全線開通し、貨物輸送だけでなく、観光客や地元住民の足としても利用された。しかし、1960年代に入ると、沿線の道路整備も進み自動車も普及したことで、貨物も旅客もともに減少の一途をたどり、1989年4月30日に全線が廃止となっている。

写真3:旧標津線跡の草刈りの風景
みどりのゆび管理地前の道標

④鉄道防風林と格子状防風林

旧標津線跡に入ると、2km弱、森の中を歩くことになる。特に冬は風が強いこともあり鉄道防風林が設けられ、それがそのまま残っている。また、森から抜け出す手前、右手には格子状防風林も残っている。バラスト含め路盤跡がきれいに残っているため、歩くのはそれほど困難ではない。ただ、エゾシカの通り道になっているところは、道が崩れていて、雨が降ると水たまりになってしまう。運が良ければ、エゾシカの群れに出会うことができる。

写真4:エゾシカの群れエゾシカの群れ

⑤湿原

森を抜けると、一面、湿原が広がっている。旧標津線の路盤は、風蓮川の氾濫による影響を防ぐために地面よりも数段高く盛土されており、とても景色が良い。ここでは、運が良ければタンチョウのつがいを見ることもできる。1.6kmほど直線の路盤跡を歩くと、ゴールとなる風蓮川鉄橋となる。

写真5:湿原から一段高い路盤跡
湿原から一段高い路盤跡

⑥風蓮川鉄橋

鉄橋の銘板には、「横河橋梁製作所東京工場製作/昭和8年」と記載がある。標津線廃止後30年近く経ったが、線路は取り除かれているが鋼鉄の橋がほぼ当時の状態で残っている。

写真6:風蓮川鉄橋手前の道標
風蓮川鉄橋手前の道標

写真7:風蓮川鉄橋
風蓮川鉄橋

⑦旧標津線フットパス

風蓮川鉄橋を渡ると、別海町の旧標津線フットパス(運営主体:別海町グリーン・ツーリズムネットワーク)と接続する。今後、根室フットパスの別当賀パスと根室市落石にある落石シーサイドウェイ(運営主体:落石地区マリンビジョン協議会)が接続されると、総延長70km近いロングフットパス(トレイル)が完成することになる。

写真8:旧標津線フットパスのコース上にある奥行臼駅跡旧標津線フットパスのコース上にある奥行臼駅跡

⑧帰路

伊藤牧場までは2つの戻り方がある。一つはそのまま来た道を戻る(往復で2時間強)、もう一つは路線バスを利用するものである。風蓮川鉄橋を渡った後、道なりに進み、右手に折れると国道243号線に出る。国道243号線を南に戻るように歩き、風蓮川を越え、しばらく歩くと、左手に待避場所が見える。そこで、手を挙げて路線バス(根室交通・中標津線)を止めて乗り込み、伊藤牧場に戻ることもできる。詳細は、明郷パスのルートマップに載っている。

2019年3月6日公開

GPX ファイル: 

シンガポール・マクリッチ貯水池公園のトレイルについて

都市国家であるシンガポールにも様々なタイプのトレイルがある。個人的に代表的なトレイルを挙げるとしたら、2011年に廃線となった旧マレー鉄道跡を歩くレールコリドー(Rail Corridor)、セントーサ島の北側に面する丘、マウントフェーバー(Mount Faber)麓から始まるサザンリッジ(The Southern Ridges:マラン・トレイルやフェーバー・ウォーク等がある)、マクリッチ貯水池公園(MacRitchie Reservoir Park)内にあるトレイルである。順に近代の歴史遺産を楽しむ、小高い丘からの絶景を楽しむ、熱帯雨林を楽しむトレイルと位置づけることもできよう。

シンガポールおいて数少ないトレイルランニングの適地でもあるのがマクリッチ貯水池公園内にあるトレイルである。週末になると、ウォーカーだけでなく、多くのランナーが押し寄せ、かなりの混雑の模様を示す。1868年に完成したマクリッチ貯水池(当時はトムソン貯水池)は、雨水を集水するもので、水質の悪化を防ぐために周辺は自然豊かな状態が保たれている。現在、公園や園内のトレイルはシンガポール国立公園庁が管理している。このトレイルにアクセスする方法はいろいろあるが、地下鉄からアクセスする方法が旅行者にはもっとも便利である。マクリッチ・ネイチャートレイル(MacRitchie Nature Trail)から、Terentang Trailに入り、吊り橋で有名なTree Top Walk、Sime Track、Golf Link、Lornie Trailと行く周回コース(約12.2km)となる。

写真1:レールコリドーにある旧ブキティマ駅付近の鉄橋
レールコリドーにある旧ブキティマ駅付近の鉄橋

写真2:マウントフェーバーのマーライオン
マウントフェーバーのマーライオン

写真3:マクリッチ貯水池公園の地図
マクリッチ貯水池公園の地図

①スタート

MRTサークルライン(黄色)のメリーマウント(Marymount)駅から、自動車道を渡り、住宅地の側の歩道を歩き、高架下を通り抜け、10分ほどで公園の入り口に到着する。前半はひたすら「Tree Top Walk」を目指して歩くことになる。

写真4:公園に至る道(高架下)
公園に至る道(高架下)

写真5:公園の入り口
公園の入り口

②トレイル入口

貯水池沿いにネイチャートレイルの入口がある。このトレイルは1993年に開通し、マクリッチ貯水池公園では最初のトレイルとなる。シンガポールではトレイルランニングをできるところは少ないこともあり、とにかく週末になると数多くのランナーを見ることができる。ウォーカーにとっては、ちょっと歩きにくくなる。

写真6:トレイルランナーの一団
トレイルランナーの一団

③熱帯雨林

未舗装だが、整備は十分にされており、歩きやすい道である。ほとんど高低差がない熱帯林の中を4.5kmほど歩くと、Tree Top Walkの入口になる。入口手前には、レンジャーステーションがあり、トイレやベンチ、給水器などがある。

写真7:未舗装だが整備が行き届いている道
未舗装だが整備が行き届いている道

④Tree Top Walk

マクリッチ貯水池公園内のトレイルの中で一番の見所ともいえる吊り橋がある。吊り橋は9時(週末は8時30分)にオープンするので、早く着いた場合は待つ必要がある。ここの道のみ一方通行なので、一度、コースに入ってしまうと戻ることができない。このあたりから、猿が頻繁に出没するようになる。食べ物を与えることは禁止されており、そのため猿から人間に近寄ってくることはほとんど無い。吊り橋は、その名の通り木の高さ(約25m)ぐらいある。かなり揺れるので、高所恐怖症の人は要注意。

写真8:吊り橋
吊り橋

⑤Jelutong Tower

一方通行のTree Top Walkを歩ききると、分岐点に出る。貯水池公園のようなトレイルがあるブキティマ自然保護区(Bukit Timah Nature Reserve)にも行くことができるが、今回は一周することを目指していたので、道標の「via Golf Link」の方向に歩く。少し歩くとJelutong Towerという7層の展望台が見えてくる。

写真9:Jelutong Tower
Jelutong Tower
 

⑥ゴール

しばらく木道などを歩くと、貯水池の北側に出る。貯水池とゴルフ場の間を通るような道を歩き続けると、きれいに整備された貯水池の南側に出る。花壇やレストランなどがあり、自然公園から一転して都市公園のような趣になる。
道標も十分に整備されており、ほとんど道に迷うことはない。念のため国立公園庁のHPから公園全図をダウンロードしておくのが良い。1時間ほどの休憩時間を入れて4時間ほどで歩くことができる。
https://www.nparks.gov.sg/-/media/nparks-real-content/gardens-parks-and-...

写真10:ゴルフ場沿いの道
ゴルフ場沿いの道

2019年3月6日公開

多摩丘陵フットパスの小野路宿コースについて

東京都町田市を中心としてコースが設定されている多摩丘陵フットパスは、日本でもっとも初期に整備されたフットパスの一つである。町田市内の鉄道の駅周辺はベッドタウンとして開発が早くから進んでいたが、交通の便が比較的良くない多摩(北部)丘陵地帯はあまり開発が進まず、1990年代初めまで豊かな自然環境が残っていた。しかし、1993年、小野路西部地域(約105ha)において住宅都市整備公団による「土地区画整理事業」の地区決定がなされるなどして開発の危機に直面した。この里山の危機に対して、一部の地元の農家、まちづくりや環境保護活動をしていた市民団体が、反対運動を展開したのであった。

豊かな自然環境を道としてつなぎ、実際に歩いてもらうことで地元住民などにもっと里山の重要性を知ってもらうという想定で、整備されたのが多摩丘陵フットパスである。町田市の助成を受けNPO法人みどりのゆびが核となり整備が行われ、2002年に開通している。特に中心となるコースが、小野路宿コースである。小野路宿は、鎌倉古道、布田道、大山道など重要な古道が交差する場所で、幕末まで宿場として栄えたところである。

①スタート

鎌倉街道の別所バス停がスタート地点である。小田急線鶴川駅から、神奈川中央交通の「多04 多摩センター行き」に乗るのが良い。他にも「鶴31」や「桜24」も別所バス停に止まる。鶴川駅からは約12分(約5km)で着く。なお、多摩センター駅や聖蹟桜ヶ丘駅からもバスで来ることが可能である。

②谷戸

別所のバス停から少し道を戻り、集落に入っていく道を歩く。その後、右手に曲がると、左手に谷戸の風景が広がっている。右手に立派な生け垣を見ながら、谷戸に降りることなく谷戸に沿って1kmほど歩くと、恵泉女学園大学や地元の小学校の畑が見えてくる。その先のT字路を右折すると、妙桜寺の駐車場が広がっている。

写真1:別所の谷戸の風景
別所の谷戸の風景

③御尊櫃御成道

駐車場を通り抜け、自動車道(都道156号)の手前、左からV字型に合流する雑木林の道に入る。この道は、御尊櫃御成道と伝わる道で、元和3年(1617年)に徳川家康の遺骸を駿河国の久能山から日光東照宮まで運ぶ行列が通ったとされる。恵泉女学園大学や地元農家の私有地が広がっているため、私有地に入らないようにほぼ直線に歩く。この道そのものは、いわゆる赤道(里道)であり、だれでも歩くことが認められている。

写真2:御尊櫃御成道に入る手前の道標
御尊櫃御成道に入る手前の道標

④布田道

谷戸に降り立ち、恵泉女学園大学などが整備している田んぼのあぜ道を通る。谷戸沿いに歩き、道標がある布田道に出たら右折する。「みどりのゆび」が管理する里山(竹林含む)が広がり、少年野球用のグランドも見えてくる。

写真3:みどりのゆび管理地前の道標
みどりのゆび管理地前の道標

⑤関屋の切り通し

山を切り開き、人馬を通れるようにした「切り通し」がある。調布の布田宿から小野路までの間道である布田道の重要な場所であり、幕末、小野路在の小島鹿之助が、自らの道場の剣道指南として招いた天然理心流の近藤勇や土方歳三などが通った道と言われている。

写真4:関屋の切り通し
関屋の切り通し

⑥一本杉公園とカフェ

左に曲がり、多摩市・一本杉公園に入る。右手には恵泉女学園大学のキャンパスが見える。池の側にトイレがあり、休憩場所に適している。道なりに歩き階段をのぼって車道に出たら、すぐに石畳の道を左に入る。その後、丘を下るように歩いて行くと、左手にピアノカフェ・ショパンが見えてくる。ピアノの生演奏を聴くことができる洒落たカフェである。カフェを通り過ぎ、下りきると、小野路宿通りに出る。

写真5:ピアノカフェ・ショパン
ピアノカフェ・ショパン

⑦小野路宿里山交流館

江戸時代の宿通りがそのまま自動車道になっている。小野路町内会などが中心となった小野路宿通り街づくり協議会が、2004年から歴史的景観を保全しながら、地元住民と都市住民の交流が図れることを念頭に整備活動を行ってきた。2009年からは都市再生整備計画に基づき、水路や黒の板塀の設置を行うなど、当時の景観を取り戻そうとしている。また、宿通りの角にあった旅籠「角屋」を町田市が買収し、建物(母屋は大正14年上棟)を改修・移築して、2013年、官設民営の小野路宿里山交流館が開館している。里山交流館では、小野路の里山に関する情報提供や、地場産野菜の販売、郷土料理の提供などが行われている。

写真6:水路と板塀
水路と板塀

写真7:小野路宿里山交流館
小野路宿里山交流館

⑧帰路

別所バス停から里山交流館までは、約5.4km、2時間半程度で歩くことができる。鶴川駅9時30分頃のバスに乗って別所に行き、そこから歩けば、ちょうど昼ご飯頃に小野路宿里山交流館に着き、郷土料理を楽しむことができる。帰路については、里山交流館近くの小野神社前バス停から、鶴川駅や多摩センター駅に行くことできる。また、時間があれば、里山交流館の裏にある小野神社から小野路城跡や奈良ばい谷戸などを巡るコースを歩くのがおすすめである。ルートマップは、みどりのゆびから購入する(『多摩丘陵Footpath1』)か、里山交流館で入手することができる。

2019年3月6日公開

GPX ファイル: 

明郷パス開通イベント(ビデオ公開)

北海道根室市にある根室フットパスで、酪農家集団AB-MOBITの協力の下、毎年、ゼミの夏合宿を行っています。2016年の夏合宿では、2015年から整備をしていた旧標津線を歩くフットパス、明郷パスの開通記念イベントを実施しました。根室フットパスの第四のコースとなります。1989年に廃線になった標津線の跡をJR厚床駅から旧奥行臼駅まで歩くことができ、前半の厚床駅から伊藤牧場までが厚床パス、後半の伊藤牧場から旧奥行臼駅付近までが明郷パスと名付けられています。イベントの様子を中心としたビデオを作成したので、是非、ご覧下さい。



https://youtu.be/fz_Krfb7Zf4​

北海道の根室フットパスでゼミ合宿

9月10日から13日にかけて、北海道の根室フットパス( http://www.nemuro-footpath.com/ )でゼミ合宿を行いました。泉ゼミは、2010 年度より、根室フットパスの管理・運営をしている酪農家集団AB

-MOBITの協力の 下、根室市内でゼミ合宿を行ってきました。これまではフットパスの整備活動、 例えば標識やキッシングゲートの設置、野鳥観察小屋の建設などをしてきました が、2014年度から3カ年計画で、フットパス利用者を増やすための3つプロジェ クトを実施しています。一つ目は「フットパスを歩きながら食べられる軽食の開 発」、二つ目は「スタンプパスポートの作成」、三つ目は「写真共有SNS等を利 用した情報発信」となります。詳細については、後日、情報発信したいと考えて います。

合宿の様子については、twitterで発信していますので、そちらも見てください ( #根室フットパス )。
https://twitter.com/izumiseminar

またインスタグラムでも情報発信しています。
#根室フットパス #footpath #専修大学泉ゼミ

上記については、まだ整備中なので、今後、続々情報更新していきます。

今回のゼミ合宿については、北海道根室管内1市4町が実施している「インカレ ねむろ・大学等研究プロジェクト2014」に採択され、そこから助成金を受けて実 施しています。プロジェクト全体の概要については下記(インカレねむろ事業推 進協議会HP)をご覧ください。
http://betsukai.jp/blog/0001/index.php?ID=3778

日本のフットパスについて

フットパスとは

「フットパス」とは、本来、イングランドにおいて、レクリエーション等の目的から、土地の所有権とは無関係に人々が「歩く権利(Rights of Way)」を有する道を指す言葉でした。近年、日本では、歩く権利とは関係なく、イングランドのフットパスの一部の機能である「歩きながら地域の特徴や原風景を体感する」という道をフットパスと呼ぶようになっています。2000年前後から取り組まれ始めた日本各地のフットパス事業は、旧来、村落共同体の通行や生活の場として用いられてきた里道(りどう)や作業道・遊歩道等を、散策路として再整備する形で展開しており、地域活性化に向けての新たな資源として域内外の注目を集めています。

日本のフットパスの現状

2012年現在、フットパスは、全国に少なくとも64あり、総延長は2,685kmとなっています(筆者調べ)。そして、一つのフットパスには、複数のコースが設定されている場合が多く、コース数は235本となっています。イングランドの総延長18万8,700kmには遠く及ばないですが、この10年での進捗は目を見張るものがあります。また、一コース30km以上という一泊しなければ歩けないような長距離フットパス(ロングトレイル)も9ヶ所あります。地域別にみると、圧倒的にフットパスが多いのが北海道で、北海道だけでも全体の65%以上となる43のフットパス、128のコースが少なくとも存在し、総延長では1,636kmとなっています。
( ポップアップで、位置図を掲載(JPEG) )

フットパス・マップについて

これまで訪問したフットパスについて、写真を挟みながら紹介します。該当する部分をクリックしてください。

関連論文など

フットパスの歴史や現状の詳細については、以下の論文などを参考にしてください。

  • 「里道が担う共的領域:地域資源としてのフットパスの可能性」三俣学他編『ローカル・コモンズの可能性』ミネルヴァ書房、2010年6月→ 上記論文の英訳(一部抜粋)“Historic Local Community Pathways in Japan Help Protect Green Spaces from Developers”, JFS Newsletter No.125 (January 2013)< http://www.japanfs.org/en/mailmagazine/newsletter/pages/032567.html
  • 「土地のアクセス権と自然環境保全:イングランドの歩く権利・アクセス権から考える」鈴木直次・野口旭編『変貌する現代国際経済』専修大学出版局、2012年2月
  • 「近年の日本のフットパス事業をめぐる関係構造」『専修人間科学論集(社会学編)』No.2、 2012年3月(共著)(全文公開)< http://ir.acc.senshu-u.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repos...
  • 「フットパスが紡ぎ出すぶらぶら歩きの世界」『グラフィケーション』No.184、2013年1月
  • “Recreation, easy access and rediscovery? Possibilities and problems of recent footpath projects in Japan”, Takeshi Murota and Ken Takeshita ed., Local Commons and Democratic Environmental Governance, United Nations University Press, 2013 (collective writing)
  • 「地域資源としてのフットパス」『森林環境2013』森林文化協会、2013年3月
  • 「緑へのアクセスを求めて」『approach』No.203、2013年9月(全文公開)< http://www.takenaka.co.jp/enviro/approach/2013aut/ >→ 上記記事の英語版“The Right to Access Nature”, approach No.203 (autumn 2013)< http://www.takenaka.co.jp/takenaka_e/about/pr_magazine/2013aut / >

くまもと宇城フットパス

轟コース:轟水源

熊本県の中心部に位置する宇城地域の山野海川や、歴史的な町並みを歩いて楽しむために整備されたのが、くまもと宇城フットパスです。熊本県宇城地域振興局が資金をだすなどして中心となり、具体的なコースの設定は美里フットパスを整備したNPO法人美里NPOホールディングスが行いました。2011年に最初の整備が終わり、現在、網津コース(宇土市網津地区)、轟コース(宇土市轟地区)、海東コース(宇城市小川町)、佐俣コース(下益城郡美里町)などからなる9コース、計47.5kmとなっています。県の振興局が音頭を取っていることなどから、地元住民があまり関わっておらず、不十分な整備状況のコースもありますが、宇城地域の景観を満喫できるものもあります。(2012年6月訪問)

ホームページ http://www.pref.kumamoto.jp/site/uk-hp/footpass.html

 網津コース:のどかな田園風景
網津コース:棚田
轟コース:轟水源
海東コース:舞鴫(もうしぎ)集落内の路地
海東コース:棚田
海東コース:日本三大文殊の一つとされる舞鴫文殊堂
海東コース:しょうが畑

くろまつないフットパス

 歌才森林公園コース

北海道黒松内町は、天然記念物「自生北限の歌才ブナ林」を核として、豊かな自然環境と農業を融合させたまち作りを狙っているところです。2004年、当時の黒松内町長が、市民の参加を受けて運営されていた黒松内町まちづくり推進委員会に対して、黒松内町でのフットパス実現についての諮問を行い、これを受けてフットパスの整備・運営を行う体制が構築されていきました。同年10月に第1号コースの完成を見ることになり、現在では、チョボシナイコース、寺の沢川コース、歌才森林公園コース、西沢コースの4コースが整備され、計26kmに及んでいます。フットパスのコースの整備やイベントの開催は、町役場がサポートしながら、町民を中心としたボランティアが担っています。(2010年7月訪問)

ホームページ http://www.kuromatsunai.com/footpath/

寺の沢川コース:緑色の足跡マークは公有地の印
寺の沢川コース
寺の沢川コース:小学校の敷地内を通り抜ける
歌才森林公園コース
歌才森林公園コース:赤色の足跡マークは私有地の印
歌才森林公園コース:フットパスマップ

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