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- 執筆者: izumi
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「経済を社会に埋め込むことを通じて権力と技術と自由を和解させる」(Karl Polanyi)*
経済のグローバル化はボーダレスな資本(貨幣)と商品の移動を加速化する。多国籍的企業活動は利潤最大化のためにもボーダレス化を志向するが、ボーダレス化は地域社会で成立していた物資と経済の循環を非効率の名のもとで破壊する。その結果、地域の処理能力を超えてエントロピーを増大させ、地域と共生する社会関係をも揺るがしてしまう。特にボーダレスな資本(貨幣)は自己増殖的に運動を続け、それが実体経済に大いに影響を与え、ますます経済と社会が乖離していく。そして、自然(資源)は有限であり、高エントロピーを捨てる能力には限界があることから、その運動が未来永劫に続くことはありえない。
この考え・想いが、私の研究の原点である。低エントロピーを維持する装置であり、自然環境を守り育てる社会関係がある地域社会の自立化によって、経済の流れを地域の環境を破壊しない物質循環に戻していくことが肝要だ(「経済を社会に埋め込む」)。これは、人の移動も阻害するような閉鎖的な経済自給を目指すものではない。自然資源などのインプットの自給性を高め、貨幣換算だけでは計測できない豊かさを得ることを目指すものである。そのための様々な取り組み・手法について研究を進めている。
*Polanyi-Levitt, K. (1990) The life and work of Karl Polanyi, Black Rose Books.