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- 執筆者: izumi
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研究会の予定(関東地区) 2006年6月27日更新
2006年度コモンズ研究会・研究大会概要
【日 時】 7月30日(日)10:00〜17:00
【場 所】 東京大学農学部2号館 第1講義室 【地図】
*東京メトロ南北線東大前駅から徒歩1分(農学部正門を入って左側の建物の2階)
*大会参加費:300円(コモンズ研究会会員は無料)
■大会プログラム■ (敬称略)
【テーマ】コモンズの変容
●基調報告(10:10〜)
菅 豊(東京大学東洋文化研究所)
「コモンズの再構築—異質性はネガティブか?—」
○報告1 (11:30〜)
田中 求(日本学術振興会特別研究員)
「ローカル・コモンズにおける資源利用の正当性を示すnoro概念の揺らぎ—ソロモン諸島ガトカエ島ビチェ村の事例—」
○報告2(13:30〜)
奥田 裕規(森林総合研究所)
「山村社会の内発的発展を支えるコモンズの役割」
○報告3(14:30〜)
田村 典江(アミタ株式会社)
「コモンズの管理ツールとしての水産エコラベリング」
●総合討論(60分)
※大会終了後には懇親会を開催いたします。ふるってご参加ください。
■報告要旨■
【基調報告】
菅 豊(東京大学東洋文化研究所)
「コモンズの再構築—異質性はネガティブか?—」
数百年にわたって利用されてきたコモンズを例に、異質な他者を拒んだ 時代から、その異質性(heterogeneity)を受け入れざるを得なくなった 時代への変容過程を解明し、アクターの異質性の増大が人びとのあいだに種々の軋轢や葛藤を生み出してきたものの、逆に異質なアクターが関わったことによって、歩み寄りに向けての新しい価値や知識、技術が模索され、集積され、そして実践されたことが、異質性によって生起した問題を落ち着かせる原動力となりつつあることを明らかにする。
※事務局より:本報告は宮内泰介編『コモンズをささえるしくみ—レジティマシーの環境社会学』(新曜社、2006.5.25)所収の、菅豊「「歴史」をつくる人々—異質性社会における正当性(レジティマシー)の構築」がもとになっています。今大会の基調報告となりますので、是非ご一読の上お越しいただければと思います。
【報告1】
田中 求(日本学術振興会特別研究員)
「ローカル・コモンズにおける資源利用の正当性を示すnoro概念の揺らぎ—ソロモン諸島ガトカエ島ビチェ村の事例—」
本報告では、ローカル・コモンズの成員が資源を共同利用するうえで、筋が通っている(noro)とする4つの共通認識(noro概念)、すなわち「気前の良さ」、「寛容さ」、「相互扶助の重視」、「働きかけの重視」が、どのようにして形成され、また地域社会内外の要因によって揺らいできたのかについて、説明する。さらにnoro概念に則った地域発展の試行錯誤過程から、noro概念を基盤にする地域発展の困難さについて説明する。
【報告2】
奥田 裕規(森林総合研究所)
「山村社会の内発的発展を支えるコモンズの役割」
鶴見和子は、「目標に至る道筋とそれを実現するであろう社会の姿、そして人々の生活のスタイルは、それぞれの社会及び地域の人々及び集団によって、固有の自然環境に適合し、地域資源を利用、自律的に創出されるものであり、そこに至る多様性に富む社会変化の過程を『内発的発展』といい、コミュニティに関する様々な定義に共通するのは、『(限定された)場所と共通の紐帯』であり、『場所』は定住地、『共通の紐帯』は、共通の価値、目標等に置き換えることができる」という。そして、「共通の紐帯」をもった住民がその「場所」に伝わる伝統や技術、資源、環境、景観を自分たち全員のものにするという行為は「コモンズ」そのものである。この過程に係わる定住者と地域外からの漂泊者、それぞれの活動実態及び各主体間のネットワークの現状、関係各主体間の「共通の紐帯」、その存在する範囲を明らかにし、山村の「内発的発展」を支える「コモンズ」の役割を検証する。
【報告3】
田村 典江(アミタ株式会社)
「コモンズの管理ツールとしての水産エコラベリング」
水産エコラベリングとは、環境に配慮して営まれた漁業から得られた水産物にラベルを表示する制度である。ラベルを通じた消費者の選択により、市場の力で持続可能な漁業を推進することができる。現在の世界の水産資源枯渇は、資源変動や地元社会の乱用だけではなく、国際的な水産物流通によって加速されている。水産物以外でも、物流が発達した結果、市場取引のために崩壊した天然資源は数多く存在する。報告者はエコラベリングを、地域の外側から資源利用者が共有資源管理に参画する方法と位置づけ、分析を行う。
◆参加申し込みの必要はありません。ご質問等がありましたら、関東地区連絡先までご連絡ください
【2006年度 関東地区定例研究会の開催予定】
第6回関東地区定例研究会(2006年4月22日(土)、専修大学神田キャンパス)
第7回関東地区定例研究会(2006年6月頃、一橋大学)(中止)
第8回関東地区定例研究会(2006年7月30日(日)、東京大学農学部)
第9回関東地区定例研究会(2006年10月上旬、福島県でフィールドツアー)(予定)
第10回関東地区定例研究会(2006年12月上旬)(予定)
第11回関東地区定例研究会(2007年2月中旬)(予定)
定例研究会では、発表者を随時募集しています。コモンズやソーシャルキャピタルなどに多少でも関係していましたら、どのような専門分野(経済学、法学、社会学、農学など)の方でも歓迎します。ご興味がある方は、関東地区連絡先までお問い合わせください。
関西地区定例研究会についてはこちらをご覧ください
研究会の記録
第6回関東地区定例研究会 (2006年4月22日(土)、専修大学神田キャンパス)
福代孝良 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
「ブラジルにおける林野所有の再編−国家保全地域システム法と公有林管理法の導入」
Regina Fu (東京大学大学院総合文化研究科)
「the indigenous environmental management and the interethnic relationship of Fulani pastoralists and Nupe agriculturalist in central Nigeria」
第5回関東地区定例研究会 (2006年2月19日(日)、東京大学農学部)
山崎麻里 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
「小笠原のエコツーリズムにおける『自主ルール』の役割−制度化の過程に着目して」
浅井美香 (一橋大学大学院経済学研究科)
「自然保護奨励金に関する一考察−神奈川県津久井郡津久井町青根における財産区を事例として」
第4回関東地区定例研究会 (2005年11月26日(土)、東京大学農学部)
野田浩二 (フェリス女学院大学)
「環境保全と水資源利用制度の再編」
泉留維 (専修大学経済学部)
「逆有償性と地域通貨」
第3回 関東地区定例研究会(2005年9月3日(土)、東京大学農学部)
図司直也 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
「現代入会牧野論−潰廃カニズムと再編の方向性」
安部竜一郎 (四国学院大学社会学部)
「コモンズ言説における外部者の役割」
第2回関東地区定例研究会 (2005年1月8日(土)、専修大学神田キャンパス)
*本研究会は本会会員である秋道智彌氏(総合地球環境学研究所)が代表を務める科研プロジェクト
「資源と生態史—空間領域の占有と共有」とコモンズ研究会との合同研究会
井上真 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
「コモンズにみる協治」
斎藤暖生 (京都大学大学院農学研究科)
三俣学 (兵庫県立大学経済学部)
「マツタケの入札制度について」
森元早苗 (岡山商科大学商経学部)
「ラオス焼畑の行動要因分析」
嶋田大作 (京都大学大学院経済学研究科)
「共有林における新規住民への対応について」
竹本太郎 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
「熊本県南小国町の学校林について」
【コント】
植田和弘 (京都大学大学院経済学研究科)
原田禎夫 (同志社大学大学院経済学研究科)
第1回関東地区定例研究会 (2004年 11月13日(土)、専修大学神田キャンパス)
浅井美香 (一橋大学大学院経済学研究科)
「公益的機能の保全と森林資源管理制度−丹沢山地における私有林を事例にして」
楠田詠子 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
「地縁による団体の法人化にみる入会林野の今日的様相−長野県飯山市栄村の事例より」
平野悠一郎 (東京大学大学院総合文化研究科)
「現代中国の森林をめぐる権利関係−社会主義体制下でのコモンズの意味とは?」
(関東地区) 連絡先
関東地区コモンズ研究会は、2006年度、4人の世話人(五十音順)で運営しています。
浅井 美香 (一橋大学大学院経済学研究科)
泉 留維 (専修大学経済学部)
楠田 詠子 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
竹本 太郎 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
山崎 麻里 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
関東地区の研究会一般のご質問ならびに発表を希望される方などは、下記にお気軽にお問い合わせください。
東京大学大学院農学生命科学研究科 楠田 詠子
E-mail: utaco#fr.a.u-tokyo.ac.jp (スパム対策で、「@」を「#」に表記変更しています。)
Tel:03-5841-7509 (研究室)
コモンズ研究会全般(入会など)の問い合わせについては、下記の研究会事務局にお問い合わせください。
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学経済学部大学院経済学研究科,地球環境学堂
植田和弘研究室内 コモンズ研究会事務局 (担当:嶋田)
E-mail: staff#commons.office.ne.jp (スパム対策で、「@」を「#」に表記変更しています。)