山口県上関町での現地調査風景②(2007年2月)

海から建設予定地を見た翌日、今度は室津港から自動車で移動し、その後、里道を歩いて周辺を散策しました。

今回、海からの予定地観察や祝島から室津港まで運んでくれた荷物運搬用の船。抗議行動の際はとても活躍したそうです。

160ヘクタールにのぼる用地のかなりの部分は中国電力に買収されています。ただ、建設敷地予定地内でも共有地や神社地など裁判の係争となっている土地があり、完全に目処がついていない今、まだ海の埋立は実施されていません。用地はかなり買収されていても、未買収の土地があることなどから、まだ赤線・青線は健在であり、警備員がしっかり付き添ってくれながら、赤線は当然歩いていけます。無断立ち入りではありません!

狭い里道を重機が走り抜けるため、当然、周辺の木々に傷が付きます。そもそも里道は人や農業資材を運ぶ道なので、車が走ることは想定されていません。傷ついた木々には、中国電力がムシロの包帯を巻いてくれています。

用地内の多くの木々は落葉樹で、その昔は薪炭利用されていたそうです。写真の木も立派に萌芽更新しています。

カクレミノ(Dendropanax trifidus:ウコギ科カクレミノ属)。樹液はウルシーオール二量体を含むそうで、漆のような使い方はできないかと地元では考えられているとか。また、地面には、ハゼの実を多く見つけることができました。伝統的なろうそくをつくる活動も近くであるそうです。

数十年前までは、四代地区の住民が徒歩で山を越え、段々畑や棚田を作り、農業をしていました。今は、その名残として、石段があるばかりです。

用地内に張り巡らせられつつある運搬用モノレール。詳細調査のためだけにこのようなおおがかりな施設が作られています。

田ノ浦で着々と詳細調査が進む。

建設予定地内を交差する赤線と青線。まだ用途廃止していないはずなのに、歩こうとすると厳しく注意されます。

予定地のすぐ裏手に立地する「いこいの家」。反対派住民の共有地に地元材で立てられたログハウスです。地元住民、特に対岸の祝島の方々がどれほど反対してきたのか、また現状については、例えば「上関原発反対運動:速報版」をご覧下さい。あと、上関原子力発電所の歴史をまとめたものとしては、朝日新聞山口支局編(2001)『国策の行方:上関原発計画の20年』をお勧めします。