上関原子力発電所の完成予想図の怪


中国電力(株)は、現在、山口県熊毛郡上関町長島四代地区にて原子力発電所の建設を進めています。そもそも中国電力がここに建設計画を立てていることがわかったのは、1982年6月末のこと。田ノ浦浜を埋め立て(敷地面積の約半分15ヘクタール)、137.3万キロワットの改良沸騰水型軽水炉2基を作ろうとしています。大規模な埋め立て(周辺の山を削って実施)、大量の冷却水の取り込み、毎秒190トン(2基運転時)もの温排水(通常より約7度プラス)の放出などの問題で、この周辺で操業している対岸約4キロにある祝島の漁民などが強硬に反対しています(係争中)。さらに、予定地内には四代集落の共有地があり、その土地に入会権があるということで入会権者の一部が全員一致原則をもとに売却に反対しています(係争中、最高裁)。また、神社地(四代八幡宮)の売却に絡む係争も起きています。これらの詳細については、長島の自然を守る会や反対運動・速報版、中国電力・上関原子力発電所(着工準備中)をご覧下さい。
ところで、写真(上)が1999年4月に出された中国電力の「環境影響調査書」、写真(下)が2001年7月に出された同社の「環境影響評価書」にそれぞれ掲載された完成予想図です。実はこの2つには大きな違いがあります。それは大きく2ヶ所です。いったいどこなのでしょう? (写真はクリックすれば拡大します)


1つは、写真(下)の左側に黄緑で囲った場所です。この場所で、2000年以降、数度にわたりカクメイ科のヤシマイシン近似種の貝(極めて珍しい貝)が見つかり、保全措置を執った結果です。この変更によって、ヤシマイシン近似種がなお繁殖し続けるのか・・・
もう1つは、写真(下)右側の赤で囲った場所です。このポツンとそびえる?小島はダイノコシとよばれ、ビャクシンが岩山に自生している姿が見えます。これら植物を保全するために、島が削られず現状のままにされることに変更になっています。なぜこのような変更が起こったのかもさることながら、続々と裁判の判決結果が出て行く中、これからの電力需要(特に中国地方における)や行き場に困っている放射性廃棄物の問題、そして周辺住民の暮らしなどをしっかりと見つめながら、この建設問題について考えて行かなくては行けないでしょう。

上関調査の写真はこちらをご覧下さい。