山形県長井市は最上川の水運で栄えた商工業都市であり、その背景から川と町が一体となった地域活性化の手段としてフットパス事業が位置づけられています。2005年に「みずはの小道」の名称で、長井市やながいフットパス推進会議が中心となり、全10コース、計51.9kmのフットパスが設置されました。大きく分けて、まちなかのルートと最上川沿いのルートに分かれています。(2009年8月7,8日訪問)
フットパス
広町緑地は、神奈川県鎌倉市西部に位置する約60haの里山です。その里山に張り巡らされた里道(りどう)を活かしてフットパスにしたのが「もののふの道」です。ちなみに里道とは、道路法によって管理される道ではなく法定外公共物に属し、多くは、旧来、村落共同体における通行や生活の場として、地元住民が必要に応じて造成したものです。
北海道滝川市江部乙町の丘陵地はリンゴやナタネの栽培が盛んで、特に5月に開花する菜の花の景色は一見の価値があります。このような四季折々に見せる素晴らしい景観や開拓の時代を静かに物語る歴史の遺産などをつないで整備されたのが江部乙丘陵地フットパスです。地元の農家出身の方たちが中心になり設立された市民団体である江部乙丘陵地のファンクラブが、フットパスの運営に携わっています。
厚床パスは、JR厚床駅から旧標津線の廃線路跡を歩いて行くところから始まります。その後、苗畑や旧陸軍放牧地の土塁を臨める国有林を通り抜けると、一面見渡す限りの採草地に着きます。そして、採草地の丘の上に立つと、地平線まで緑の海が広がり、声も出ないほどの開放感に浸れます。
別当賀パスは、もっとも根釧地方の原生的風景を色濃く残しています。別当賀駅から、草原、天然林、そして湿原を縫うようにコースがあります。途中には日本野鳥の会の野鳥保護区があり、そこにはタンチョウの営巣地があります。また、コース内には野鳥観察小屋がもうけられています。
北海道根室市にある根室フットパスは、日本の草分け的なフットパスです。根室市の酪農家集団AB-MOBITという5人からなるグループが、行政の手をほとんど借りず、地元産業界の支援を一部受けながら、自らの所有する牧場の中に歩く道を整備することで形成されていきました。
済州市内を通り抜けるコースであり、済州最大の市場である東門(ドンムン)在来市場のすぐそばにある東門ロータリーが終点になっています。終点付近は、山地川(サンチジョン)に沿った道にもなっていて、済州市旧市街の昔と今を体感できる場所となっています。
社団法人済州オルレの本部が近くにスタート地点があるコースです。2007年12月にオープンした海岸線沿いの平坦な道ですが、オルレサポーターによって安全に歩けるように道が整備され、階段が設置されたりしました。スタート地点にあるウェドルゲ(孤立岩)は、韓国ドラマ「チャングムの誓い」のロケ地としても知られています。
済州オルレの中でも最初にオープンしたコースで、世界遺産である城山日出峰をはじめとしたオルム(寄生火山、済州島全体で368ある)と海が一緒に楽しめるコースです。済州市の市外バスターミナルから東回一周線のバスに小一時間ほど乗り、城山邑始興小学校で下車すると、スタート地点に到着します。スタート地点の近くには、オルレの案内所があります。
東アジアでもっとも整備されているフットパスは、韓国済州島の済州オルレでしょう。「オルレ」というのは、韓国の済州島の方言で「大通りから民家に至る路地」という意味です。2007年9月に最初のコースがオープンし、2012年11月にオープンした第21コースをもって丸い形をした済州島をほぼ一周する形でコースがつながることになり、済州島各地の歴史、文化、食などが満喫できるものになっています。