お知らせ

『コモンズと地方自治:財産区の過去・現在・未来』発刊

2011年8月、ここ4年来、研究を続けてきた財産区の研究成果が、本(『コモンズと地方自治:財産区の過去・現在・未来』)となりました。その多くが入会(いりあい)である財産区は、日本を代表するコモンズと言えるでしょうが、その包括的な現状は必ずしもわかっていませんでした。特別地方公共団体でもあるので、総務省が把握していても良いのですが、総務省は簡単な調査をするだけで、それほど多くの情報は持っていません。そのため、チームを組んで悉皆調査を行い、98%の財産区の状況をまとめ、分析したものが今回、本になっています。調査の概要については、ここをご覧ください。また、本の目次などの詳細は、発行元の日本林業調査会のHPでご確認ください。
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研究会開催

「支え合いの仕組みから考える持続可能なコミュニティ」

ながらくコミュニティの紐帯を新たに作り出すためにタイムバンク導入を推進されてきたヘロン久保田さんをお招きして、持続可能なコミュニティ構築のための仕組みについて考えていきたいと思います。

  ■日 時  2010年6月12日(土)14:00~17:30(開場13:45)
  ■会 場  専修大学神田キャンパス・1号館4階 ゼミ44教室<変更しました>
         千代田区神田神保町3-8
         地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、
         神保町駅出口A2より徒歩3分、
         JR水道橋駅西口より徒歩7分
    地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html
    構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html

  ■講 演  ヘロン久保田雅子さん「お金で買えない貴重な時間:時代を変えるためのタイムバンク」(60分)
        村山和彦さん「都市計画のツールとしての”ピーナッツ”」(40分)
        森野 榮一さん「持続可能なコミュニティとは?」(40分)

  ■参加費  資料代として700円
  ■主 催  ゲゼル研究会( http://grsj.org/
  ■問合せ  泉留維まで
        メール rui.izumi at gmail.com (atを@に変更してメールをお送りください)
  ※どなたでもご参加いただけます。
  小規模な部屋で開催を予定していますので、参加される方はメールでご一報いただけると助かります。なお、講演会終了後の懇親会に参加される方は、できるかぎり事前にメールでご連絡ください。

【講師プロフィール】

ヘロン久保田雅子
米国タイムバンク・エリア代表、フロリダ・インターナショナル・大学(FIU)講師。著書は、『この世の中に役に立たない人はいない』(創風社 2002)、『お金で買えない貴重な時間』(Time Banks USA 2010)など多数。1990年代初めより、コミュニティにおける新たな相互扶助構築のためにタイムバンク導入を推進している。

村山和彦
(株)みんなのまち代表取締役社長、都市計画・まちづくりコンサルタント。著書は、『地域通貨の可能性-「ピーナッツ実践報告」』(千葉まちづくりサポートセンター、2001)など多数。地域通貨ピーナッツの生みの親であり、コミュニティービジネスとしての地域通貨導入を推進している。

森野 榮一
経済評論家、ゲゼル研究会代表。WAT清算システム会員。著書、論文は『消費税完璧マニュアル』『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『なるほど地域通貨ナビ』(編著、北斗出版) など多数。1999年、NHK BS1特集「エンデの遺言」の番組制作に参加・監修。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及活動に努めている。

研究会開催のお知らせ

久しぶりにゲゼル研究会主催の研究会を開催します。昨年末のサブプライムローン問題の勃発以来、グローバルな金融資本主義は、激しく揺さぶられています。この1年間の世界経済の動向をおさらいし、行方を考えていくためにゲゼル研究会のメンバーに話題提供をしていただき、その後、皆さんと一緒に議論したいと思っています。 年末が迫る忙しい時期かと思いますが、お時間が許しましたら、是非、ご参加下さい。
■日 時  
12月6日(土)14:00~17:30(開場13:45)
■会 場 
専修大学神田キャンパス・2号館1階 106教室 (会場が当初ものから変更になっています)
千代田区神田神保町3-8
地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、
神保町駅出口A2より徒歩3分、
JR水道橋駅西口より徒歩7分
地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html
構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html

■講 演 
森野榮一さん「金融経済化と出口なき世界」  (60分)
青木秀和さん「『お金』崩壊に向かう世界経済」 (60分)

■参加費  資料代として500円
■主 催  ゲゼル研究会( http://grsj.org/
■問合せ  泉留維まで
メール rui.izumi at gmail.com (at = @ に変換)
※どなたでもご参加いただけます。
小規模な部屋で開催を予定していますので、参加される方はメールでご一報いただけると助かります。

【略歴】
青木 秀和
財政アナリスト。大卒後3年間準大手ゼネコンに勤務。その後、公務労働者に 転じ、社会福祉・公共事業・環境保全部門を経験。現在、公立大学事務局勤務。財政窮迫の様相とその根源的原因をライフワークとして追究。今年『「お金」崩壊』(集英社新書)を出版。

森野 榮一
経済評論家、ゲゼル研究会代表。WAT清算システム会員。著書、論文は『消費税完璧マニュアル』『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『なるほど地域通貨ナビ』 (編著、北斗出版) など多数。1999年、NHK BS1特集「エンデの遺言」 の番組制作に参加・監修。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及活 動に努めている。

『「お金」崩壊』出版記念講演会開催

下記の講演会を開催します。ご興味がある方は、是非ご参加下さい。

4月17日に集英社新書から青木秀和さんの『「お金」崩壊』が出版されました。累積債務問題や郵政民営化・道路子団民営化のトリック(本質)をわかりやすく解説してくれた青木秀和さんがお金の本質から債務問題や経済、環境の本質に迫る待望の書です。
本書の出版を記念し、著者による講演会を開催いたします。
ゲゼル研究会主宰者の森野栄一さんのゲスト講演もあります。

  ■日 時  5月10日(土)14:00~17:00(開場13:30)
  ■会 場  専修大学神田キャンパス・1号館2階 201教室
         千代田区神田神保町3-8
         地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、
         神保町駅出口A2より徒歩3分、
         JR水道橋駅西口より徒歩7分
    地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html
    構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html

  ■講 演  青木秀和さん
         ゲスト講演 森野栄一さん
  ■参加費  資料代として500円(『「お金」崩壊』付 1,200円)
  ■主 催  青木秀和講演会実行委員会
  ■協 力  みどりのテーブル、ゲゼル研究会
  ■問合せ  小林一朗まで
   メール ichiro.k at d4.dion.ne.jp ( at を @ に変換をお願いします)
  ※どなたでもご参加いただけます。
  申込は不要ですが資料準備の都合上、参加される方はメールかお電話でご一報いただけると助かります。

◆本書より
 お金とは、何かを購入するための「手段」だった。ところが、いつの間にか、お金自体が「商品」として扱われるようになってしまった。社会でモノやサービスを購入するお金と、バーチャルな金融市場を行き交うお金とが乖離してしまったのである。
 私たちの社会は、そんなお金の暴走に翻弄されている。「お金とは何なのか?」という根源的な問いかけから出発し、財政赤字、年金制度、グローバリズム、エネルギー問題など様々な論点に迫る、まったく新しい経済論=社会論の誕生。

◆著者プロフィール
青木秀和(あおき ひでかず)
 一九五五年長野県生まれ。緑の共生社会研究所共同代表。常に平場(庶民の立場)に身を置きつつ、高い分析能力と政策立案能力を兼ね備えた知識人(=ポリシー・インテレクチュアル)を目指す市民研究者。主著は、河宮信郎と共著の『公共政策の倫理学』(丸善)。

財産区についての研究会開催

コモンズ研究会の主催で、「ローカル・コモンズとしての財産区」という全体テーマで研究会を実施します。概要は下記の通りです。ご興味がある方は、できればご一報の上、参加していただければ幸いです。

◆日時:4月26日(土)14時00分開始 17時30分終了予定
(終了後、懇親会を予定しています)

◆主催:コモンズ研究会

◆場所:専修大学神田キャンパス・1号館12階 社会科学研究所分室 
http://www.acc.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06.html (交通案内)
http://www.acc.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html (キャンパス地)
http://www.acc.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html (施設案内)
水道橋駅(JR)西口より徒歩7分
九段下駅(地下鉄/東西線、都営新宿線、半蔵門線)出口5より徒歩3分
神保町駅(地下鉄/都営三田線、都営新宿線、半蔵門線)出口A2より徒歩3分

◆報告者:
 今田美穂さん (国立環境研究所環境リスク研究センター生態系影響評価研究室)
 「兵庫県播磨地域におけるため池の存続条件における財産区の役割」
<報告要旨>
 全国には20万強のため池があるといわれ、1000たらずあるとされている天然湖沼をはるかに上まわる。近年では、農村コミュニティの弱体化がいわれ、ため池は農業用水の確保のみならず、気候緩和や生物保全の場として、その環境保全的価値が再認識されるようになっている。
 本報告の調査地である兵庫県下には、全国で最も多い4万ものため池が存在する。ところが、都市化地域のため池を中心として、1960年代から90年代のおよそ30年間に、公共用地や工業用地として約1割が改廃されてきた。近年では、受益地であった農地の転用がすすみ、水利権の完全放棄、公的管理を待つだけのため池も少なくない。
 そこで、兵庫県播磨地域を事例に、都市化地域におけるため池の維持管理のおいて、池敷の所有組織である財産区が果たす役割について紹介したい。

 山下詠子さん (東京大学大学院 農学生命科学研究科)
 「2007年財産区悉皆調査の結果報告」
<報告要旨>
 2007年3月31日時点での財産区の状況について、同時点での全市区町村である1,827自治体(1,804市町村および23特別区)に対して悉皆調査を行った。最終的な回収率は98.3%、1,795自治体から回答を得た。この調査結果についての報告を行う。
 本調査は、特定領域科研「グローバル時代のローカル・コモンズ」の研究費によって実施されたものである。

◆参加費:無料

参加を希望される方は、事前に泉までご連絡いただければ幸いです。その際、懇親会の参加の有無まで教えて頂ければと思います。

赤線・青線についての研究会のご案内

6月2日(土)に、法定外公共物である里道・水路(赤線・青線)の専門家の寳金敏明氏をお呼びして、公開研究会を実施いたします。寳金敏明氏は、「里道」や「水路」をタイトルに含む国内唯一の著書『新訂版 里道・水路・海浜:長狭物の所有と管理』(2003年)の執筆者です。参加を希望される方は、私、泉に一報を入れていただいた上で、会場までお越しください。

【ローカル・コモンズ班 2007年度第1回公開研究会】
日時:2007年6月2日(土) 14:00~17:00 
場所:専修大学神田キャンパス1号館7階7B会議室
   周辺地図
   施設案内
報告:寳金敏明氏(元東京法務局長)
タイトル:里道・水路の所有と管理
主催:科研「グローバル時代のローカル・コモンズの管理」班(http://www.sdgovernance.org/
問い合わせ先:泉留維(専修大学経済学部)
phone: 044-911-1266(研究室受付)
E-mail: izumir@isc.senshu-u.ac.jp (スパム対策ですべて大文字にしています)

『テキストブック 環境と公害』が出ました

 昨年の春頃から書き進めていた『テキストブック 環境と公害:経済至上主義から命を育む経済へ』日本評論社(泉留維・室田武・三俣学・和田喜彦)が、やっとこの4月20日頃に店頭に並ぶことになりました。大学学部生向けに作成した本なので、写真や図表を多用し、かなりわかりやすい作りになっているかと我ながら思っています。テキストブックという位置づけのため標準的な環境経済学やエコロジー経済学の議論も載せていますが、一方で昨今見直しが起こりつつある公害問題や、事故の隠蔽が後を絶たず、廃棄物の処分方法が未だ決まらない原子力発電所問題、さらに最大の環境破壊行為といえる戦争の問題についても取り上げています。お近くの書店等で下記のような表紙を見ましたら、一度、お手にお取りください。

農業実習開始


佐賀県伊万里市の地域通貨ハッチーの調査や、入会権の大家である中尾英俊先生の講演会主催など、近頃、バタバタしていましたが、そうこうしているうちに今年の農業実習を開始する時期が来てしまいました。
例年と同じく、実習場所は横浜市青葉区の寺家ふるさと村の谷津田です。さすがに休耕田を開墾してから3年目となり、そこそこの田んぼになってきました。周囲の里山の竹きりも定期的にしているので、日当たりもかなり良くなっています。
今年は周囲の竹や雑木を切り出すのもさることながら、例年、懸念材料となっていた「くろ(畔)」の補強作業を行いました。くろぬりするだけでは、どうしても水が落ちてしまうところがあったので、そこは写真のように雑木の丸太をおき、竹を打ち込んで固定してから、その上に土をかぶせていきました。その他にも竹を打ち込んで水路を補強するなど、ようやく「田んぼ」らしくなってきたでしょうか。

2007年の農業自習の写真はこちらをご覧下さい。
 

上関原子力発電所の完成予想図の怪


中国電力(株)は、現在、山口県熊毛郡上関町長島四代地区にて原子力発電所の建設を進めています。そもそも中国電力がここに建設計画を立てていることがわかったのは、1982年6月末のこと。田ノ浦浜を埋め立て(敷地面積の約半分15ヘクタール)、137.3万キロワットの改良沸騰水型軽水炉2基を作ろうとしています。大規模な埋め立て(周辺の山を削って実施)、大量の冷却水の取り込み、毎秒190トン(2基運転時)もの温排水(通常より約7度プラス)の放出などの問題で、この周辺で操業している対岸約4キロにある祝島の漁民などが強硬に反対しています(係争中)。さらに、予定地内には四代集落の共有地があり、その土地に入会権があるということで入会権者の一部が全員一致原則をもとに売却に反対しています(係争中、最高裁)。また、神社地(四代八幡宮)の売却に絡む係争も起きています。これらの詳細については、長島の自然を守る会や反対運動・速報版、中国電力・上関原子力発電所(着工準備中)をご覧下さい。
ところで、写真(上)が1999年4月に出された中国電力の「環境影響調査書」、写真(下)が2001年7月に出された同社の「環境影響評価書」にそれぞれ掲載された完成予想図です。実はこの2つには大きな違いがあります。それは大きく2ヶ所です。いったいどこなのでしょう? (写真はクリックすれば拡大します)


1つは、写真(下)の左側に黄緑で囲った場所です。この場所で、2000年以降、数度にわたりカクメイ科のヤシマイシン近似種の貝(極めて珍しい貝)が見つかり、保全措置を執った結果です。この変更によって、ヤシマイシン近似種がなお繁殖し続けるのか・・・
もう1つは、写真(下)右側の赤で囲った場所です。このポツンとそびえる?小島はダイノコシとよばれ、ビャクシンが岩山に自生している姿が見えます。これら植物を保全するために、島が削られず現状のままにされることに変更になっています。なぜこのような変更が起こったのかもさることながら、続々と裁判の判決結果が出て行く中、これからの電力需要(特に中国地方における)や行き場に困っている放射性廃棄物の問題、そして周辺住民の暮らしなどをしっかりと見つめながら、この建設問題について考えて行かなくては行けないでしょう。

上関調査の写真はこちらをご覧下さい。
 

赤線・青線と入会権

 日々私たちが歩いている道路は、そのほとんどが公共物(国有財産法に基づく)です。例えば、「国道・県道・市道」は道路法(昭和27年法律第180号)が適用される「法定」公共物ですし、また「一級河川・二級河川・準用河川」は河川法(昭和39年法律第167号)が適用または準用される「法定」公共物です。一方で、公共物でありながら、法律の規定がないものがあります。公図(不動産登記法17条)の上でも地番がありません。そのような公共物を「法定外」公共物(長狭物)と言います。法定外公共物の多くは、明治時代に公共物に関する法律が制定されていく中で、その範疇に含まれなかった地区住民の日常生活に密着した「道」や「小川・水路」です。
 公図での色分けから、道路法の適用がない道路である里道を「赤線」、河川法の適用のされない水路を「青線」とも言います。赤線も青線はながらく国有財産(国土交通省管轄)でしたが、地方分権推進の一環として2005年3月末までに市町村に譲与されています。ただし、自動的にすべての赤線・青線が譲与されたわけではなく、市町村が公図に基づき必要なもの(機能を有するもの)を国に届け出をして譲与されています。それ以外のものは用途廃止(普通財産化)となりました。 (注1:上記写真は身延町北川地区花柄沢の処分場建設予定地内の赤線)
 例えば、赤線は、その付け替えや払い下げを受けようとする場合、地域生活に関わる道路であることから、原則、隣接地所有者及び地元土地改良区代表者等の全員の同意が必要となっています。たとえ、現在は使用されていなくても、将来使用されうることから、現在の使用状態如何に関わらずでです。その意味で、地盤は市町村有であることから、地役入会権に近い構成内容を持った権利があるとも言えるでしょうか。
 赤線・青線に関する裁判はいろいろありますが、山梨県南巨摩郡身延町では、同町内にある民間企業(株式会社山の都)が一般・産業廃棄物管理型最終処分場(埋立容量93万m3:72%が「焼却灰」「煤塵」)を建設しようとしたところ、その山中には赤線・青線があったことから地元住民・自治体と業者の間で係争となっています。処分場建設に伴う起こりうる環境問題や裁判の詳細(主に人格権を争点としている地元住民が県に対して起こした「廃棄物処理施設設置許可処分取消訴訟」)等については、みのぶ緑と清流を守る会のHPをご覧下さい。 (注2:下記写真は旧下部町(現身延町)のあちこちで見られる産廃処分場建設に反対と書かれたのぼり旗)
 本係争における赤線・青線問題は、処分場予定地である花柄沢の底地部分、赤線約847 m2、青線約1,639m2についてです。計画通り廃棄物の埋立を始めると、それらが使用不可能になるので、占有許可か付け替えの手続きが必要となってきます。しかしながら、付け替えをするには処分場に反対している関係者の土地である寺有地や入会地に必ずかかるため新設は困難であり、そのまま埋立をして占有するには身延町公共物管理条例(平成16年9月13日条例第173号)で「使用期間は最高10年(第6条)」や「使用後は元の状態に戻す(例外有り:第14条)」などの項目があることから、赤線・青線によって事業が進捗できない状態です。事実、2006年2月20日、身延町は「赤線・青線の使用」を不許可としています。ちなみに、同年10月9日、業者は身延町に対して不許可処分取消請求訴訟を起こしています。
 地区住民の日常生活に密着した道路・水路として利用されている/いた赤線・青線は、入会権のような法律に明記された形での地域住民にとっての権利はありませんが、地域の生活にとっては必要不可欠な資源であり、一方で不必要な地域外から押し寄せる開発を止めうる手段として認識できるでしょうか。

身延調査の写真はこちらをご覧下さい。

2007-02-10

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